ハ.洞穴(坑道)記載


第1坑道(本坑)

総延長:234.5m
高低差:7.1m
洞穴型:横穴

    坑  口:洞口(坑口)は一つで、真南に開口する。
    開口部は、高さ1.8m×幅1.7mのトンネル型を為し、表土の被る風化したチャートを掘り込んでいる。
    坑  内:坑道は、高さ1.6〜1.8m×幅1.4〜1.5mを保ちながら、西側へと大きく緩いカーブを描くように掘られており、西に延びる支洞で第2坑道と連結する。
    坑口部に、約60cm程度の表土の堆積がみられるるものの、坑道内の掘削土石はきれいに搬出されている。洞床中央部には、枕木状に並べた枝木を20〜30cm程度の盛土を施し、鉱石搬出のための足場が確保されている。
    坑道は東西に走る垂直な地層を直角に掘り進んでいるので、左右の洞壁に地層の層順が観察され興味深い。
    また、天井の一部には岩盤中に含まれる石灰分(炭酸カルシウム)の溶出が認められ、10〜11mm前後の乳白色を呈した二次生成物のつらら石がみられる。
    特に、最奥部は石灰岩脈を筋状に挟んだ石灰質粘板岩(層理面は石墨化している)の岩盤となり、切羽の全面には二次生成物である乳白色の流れ石(フローストーン)が形成されている。


第2坑道
総延長:102.5m
(未測量部を含めると250mを越えるか)

高低差:15.1m
洞穴型:横穴・斜洞迷路型

坑  口:坑口は一つで、斜面の表土及び風化岩石を掘り割る形で南南東に開口する。
開口部は、高さ2.0m×幅0.9のやや縦長の型を為す。
坑  内: 坑道は、坑口付近より分岐し、極めて複雑な支洞を有する。
試し掘りとみられる短い支洞を除き、斜洞をもって下方へと延びている。
斜洞は高さ1.5m×幅1〜2mの空間を有し、約25°の傾斜を持ちながらクランク状に曲折、あるいは分岐し、複雑な支洞網を形づくっているが、これはマンガン鉱脈を追っての掘削の結果と思われる。
斜洞は、一層下のレベルの横穴に連結し、その横穴から延びるいくつかの支洞の内の一つである支洞によって、さらに下位に位置する第1坑道(本坑)と連結する。
このように、第2坑道は複雑な迷路構造を為すため、単独での入洞はもとより複数人による調査においても、ルートの確認に注意が必要である。
なお、斜洞部を中心にコキクガシラコウモリが多くみられ、コロニーも確認された。


第3坑道
総延長:11.7
高低差:2.5
洞穴型:横穴
坑  口:坑口は一つで、南向きに開口する。
チャート露頭の下部から掘り込まれており、坑口は高さ1.7m×幅1.4mである。
坑  内:坑内の断面は、高さ1.0m×幅0.7m前後の規模で比較的狭い。
今回調査した坑道の中では最も短く、ワンクランクで行き止まりとなる。


第4坑道
総延長:105.7m
高低差:4.9m
洞穴型:横穴
坑  口:坑口は南東に開口し、サイズは高さ1.8m×幅1.5mである。
風化したチャート層より掘り込まれている。
    坑  内:坑内の断面は、高さ1.5〜1.8mで幅1.5mと比較的大きく掘られており、坑口より12m地点で第6坑道と連結し、20m地点の右壁上部で第7坑道と連結する。
坑内の床には朽ちた丸太の支柱がみられ、湧水もあることから足場は悪い。

第6・第7坑道と斜洞で連結するこの坑道は、両坑道の搬出坑の役目を果たしたものと思われる。
また、坑道を天上部に向かって掘り上げ、天井の高さが約5mほどの吹き抜けになった箇所もある。
坑道内には、22cmほどに垂れ下がったカーテン状の二次生成物をはじめ、つらら石が比較的多く成長している。
いずれも茶褐色から黒褐色を呈するが、最奥部付近には白色のものもみられ、岩盤の中に第1坑道の最奥部にみられた石灰質粘板岩がみられることから、鍾乳石とみなしてよいであろう。

第4坑道は、全体的に岩盤が脆い上に、層理面から剥離しやすいいわゆる「滑り目」状を呈するため、坑内壁面は所々抉られた状態を為し注意を要する。


第5坑道
総延長:41.3m
高低差:3.7m
洞穴型:横穴
坑  口:真南に開口し、坑口規模は高さ2.0m×幅1.2である。
坑  内:風化したチャートを掘り込んであり、坑内断面は高さ1.4m×幅1.0m前後のトンネル型を為す。
右方へ延びる支洞は分岐後まもなく行き止まりになり、左方への支洞は石積みが施されており土石で塞がれているが、上部の隙間を覗くとさらに坑道は続いているようである。
また坑道内の一部には、高さ1.5m×幅1.3m×奥行1.3mの小部屋状に掘り込まれた箇所があり、天上部には厚み約3cmの、開口部の両端には柱状にコンクリートの補強が為されており、かつては板戸が施されてものと思われる。
    これは、全出の藤田勇氏によれば上部に位置する坑道に火薬を保管した坑道があるということなので、これが火薬保管庫跡と思われる。


第6坑道
総延長:47.3m
高低差:10.4m
洞穴型:横穴一部斜洞
坑  口:坑口は2ヶ所あり、いずれも東向きに開口する。坑口は高さ1.2m×幅1.0mである。
坑  内:坑道は、2つの坑口から西方に下りながら平行する形で掘られている。
坑内の断面は概ね高さ1.3〜1.4m×幅0.7〜1.0mであり、2ヶ所の分岐点を持つが、最奥部は積み上げられた土石で塞がれた状態にある。
坑洞内の両壁の中位部に厚みが15〜20cmの水平で黒色を呈する岩石層がみられ、その部分だけを抉り取ったような部分も見受けられることから、この黒色層(酸化マンガン鉱脈か)を追う形で掘り進んだものと思われる。
左方に分岐する支洞は、斜洞となって第4坑道坑口から12mの右壁に連結する。
また、坑内には茶褐色から黒褐色を呈するカーテン状の二次生成物がみられ、
厚み5mm×長さ15cmで4〜5cmの垂れ下がりがあるが、鍾乳洞に見られるカーテン状鍾乳石に比べ透明感がなく、指先で削れるほど脆いのが特徴である。

奥部壁面の一部に、浸透水がみられる。


第7坑道
総延長:30.6m
高低差:7.4m
洞穴型:横穴一部斜洞
坑  口:坑口は真東に開口し、規模は高さ1.5×幅0.9mのきれいなアーチ型を為す。
坑  内:坑口付近で左方へ分岐し、斜洞となって第4坑道の12m地点に連結する。
この支洞は高さ0.8×幅0.9mとやや狭い楕円形の断面を為し、急傾斜となって下部に位置する第4坑道の壁面上部に繋がる事から、第7坑道での採掘岩石を第4坑道に落とし込み、
そこから坑外へ搬出するための連絡路と考えられる。

坑口より6.5mと10m地点には、床面より下方にと掘られた坑道跡が、坑内排水用のプールとして利用されている。
最奥部は、石積みが為され土石で塞がれている。


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