洞窟の利用『祭祀・信仰の場』

洞窟の底知れぬ暗闇とその静寂さは神秘的で、人に畏怖や畏敬の念を抱かせます。
人里近くの洞窟や岩陰に祠が祭られている例が多くありますが、
静岡県浜松市の滝沢鍾乳洞の場合は、洞口付近に祠が置かれ、
洞内にも不動様が地元住民によって祭られています。
この洞窟は、明治6年に探険調査した様子が『滝沢鍾乳洞実視誌』としてまとめられており、
江戸後期の和算家によって描かれた日本最古の洞窟測量図(絵図面)『巖洞絵図(がんどうえず)』も残されています。
また、不動様が祭られる場所にある石筍には、半ば鍾乳石に覆われたしめ縄が認められることから、
古くから信仰や祭祀の場として使われていた事がわかります。
隣接する「行者穴」も、修験者の行場であったことに由来すると言われています。


鍾乳石に埋まったしめ縄
鍾乳石に埋もれたしめ縄。(滝沢鍾乳洞の゛不動様")

岩陰に祭られた祠(大明神)
岩陰の祠(大明神)。(愛知県豊橋市・立岩岩陰遺跡)

海外では、フランス西南部ドルドーニュ県レ・ゼジー村のラスコー洞窟に、
約18000年前の後期旧石器時代のクロマニヨン人(新人)が描いた洞窟壁画が残されています。
また、スペインのアルタミラ洞窟でも洞窟壁画が発見されていますが、
何の目的で洞窟の奥深い所に馬や牛や鹿とともに狩りをする人を描いたのでしょうか。
それは、たくさんの動物に恵まれ狩猟生活の安定を願ったものと考えられています。

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